あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

『浮気してんだろ?』
「は?してないけど」
『でも、他に好きなヤツいんだろ?』
「なに言ってんの?そんなのいるわけ」
『じゃあ、ユウタって誰だよ?』
「…………え?」
『この間、俺ん家で仮眠してた時に言ってたんだよ……ユウタさん、好きって』
「……聞き間違いじゃないの?」
『何回も言ってた。ユウタさん、ユウタさんって……泣きそうな顔でさ』
「……」


思ってもみなかった名前にぎょっとして、私、何も言えなくなった。

しかも、泣きそうとか…………最悪。


『浮気とかするヤツだとは思わなかった、大人しそうな顔して結局、元カノと同じことするなんて……』
「…………はぁ?!」
『おまえ、最悪だわ』
「黙って聞いてりゃ……浮気なんてしてないって言ってるでしょ!」
『なら、ユウタって』
「うるさい!彼氏の誕生日に他の男と裸でイチャついてた女と一緒にしないでよ!」
『は、裸じゃねーし!下着は着てた!』
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