あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

伯母が、いなくなって。

気づいた時にはもう埋まってしまっていた、あの人の隣が、空いた。

私が…………伯母で埋まっていたその場所に、入れるチャンスが来た、と。


ずっとずっと望んでいた、あの人の隣。

あの人と、一緒に過ごせるポジション。


手に入らないと思っていた未来を、手に入れられるかもしれない……と。

思って、一歩を踏み出した。



その瞬間に、伯母の笑顔が目の前に浮かんで。



カクンと膝から力が抜けた。

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