あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう

「……ぁ……」

踏み出していた片足を引き寄せて、障子とふすまに挟まれた部屋の隅で自分を抱きしめる。

途端に滝のようにあふれ出る涙と共に、飛び出しそうになった声をかみ殺して、抱えた膝の上に顔を伏せた。

ガクガクと震える体で物音がしないように、ぎゅっと抱きしめる腕に力をこめて。

「……う……うう……」


伯母が、大事な家族が亡くなったのに。

私は何を…………何を考えたんだろう。



一瞬でも、自分の中に浮かんだ考えに、たまらない罪悪感が湧いた。



許せなかった。

そんなことを考えた自分が。


一瞬でも、伯母が亡くなったことを喜んだ自分が。

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