あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
「年取ってから、後悔したって知らないからね」
ささやいた耳たぶに最初で最後のキスをして。
ちょっとした仕返しに、噛みつくように歯を立てる。
痛みに叫んだ雄太さんからパッと離れると、ニヤッと笑って、背を向けた。
長年の片思いを一瞬で玉砕してくれたんだから、乙女の牙くらい甘んじて受けなさい!
そして、あともうちょっとくらい、その痛みで、私の気持ちを覚えてて。
口にできない最後の想いを込めて。
私は明るい光の中に立ち、ヒラヒラと手を振った。
「じゃあね。バイバイ、伯父さん」
ー fin ー


