あの夏の日の午後のこと、私はきっと忘れないだろう
「だろうね」
「これからもっと……伯母さんよりもずっとイイ女になる予定だし」
「紗良ちゃんは今でも十分かわいいし……誰とも、比べる必要なんてないんだよ」
諭すように言う口調は教師っぽいけど、ちょっと嬉しくなっちゃったのが悔しかった。
「……わかってる」
そんなこと、ずいぶん前からわかってた。
私は伯母さんじゃないし、伯母さんにはなれない。
違う人間なのに、比べてアレコレ悩むのはバカらしいって。
だけど……だけど、私は……伯母さんに……あなたの加奈子さんに、なりたかった。
雄太さん。
あなたに想われて、ずっと隣にいられる人間になりたかったの。
なんにもわかってないくせに。
なんでもわかった風な大人の余裕に一発かましたくて、キッと見上げたけど。
雄太さんは、やっぱり優しく微笑んでいて。
なんだか腹が立ったから、タックルする勢いで、正面から抱きついてやった。