男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 姿が見えないだけで、実体としてそこにいるモノではあるらしい。そう今更のように半ば理解し、セドリックとユリシスは言葉なく目配せした。つまりやろうと思えば、歩く土の上に足跡を残す事だって当然のように出来るのだろう。原理は不明である。まるで魔法のようだ。

 ノエルが空を飛べる事を知ったというのに、その点に関して深く考えようとしていないばかりか、全く疑問にも覚えていないラビは、固まってしまった男達に「それよりも」と告げて話を戻した。

「目的地の執務室って、どこなの?」

 彼女は長い廊下に並ぶ複数の立派な扉へ指を向けて、そう尋ねた。
< 22 / 398 >

この作品をシェア

pagetop