【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
 回数を重ねるごとに、緊張していた体と意識が(ほど)けていく。

 そうすると触れる柔らかさが心地よくなってきて、もっと拒めなくなってしまうんだ……。


「はぁ……伊千佳さん……かわいすぎ」
「んっむらき、くん……もう……」
「ごめん、もうちょっと……」

 甘い言葉に心臓が持たなくなってきてギブアップを告げるけれど、村城くんはまだだとわたしを求めてくる。

 そんな彼に、どうしてここまで私を求めてくれるんだろうって疑問に思う。


 好きだと初めに言われたときも疑問ではあったけれど、そのときはまだ村城くんのことを地味だと思っていたからそこまで深く考えていなかった。

 でも、素顔がモデルの仕事をしているくらいのイケメンだと知ってからは疑問しかない。

 前、よく逆ナンされて困ってると言っていたように本来の村城くんはモテるんだろう。
 そんな彼が、どうして私みたいな普通女子を?

 そう思ってしまうのは仕方ないと思う。
 

 疑問の答えを知りたい。

 知れば、きっと私も告白の返事を伝えられると思うから……。

 村城くんが好きだって……彼と同じように、真っ直ぐに伝えることが出来るだろうから……。
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