【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
「はははっ! ごめん、でも変じゃないよ。伊千佳さんはどんな顔でもかわいいから」
「っ! それは流石に言いすぎじゃない?」
「言いすぎだとは思わないけど……あ、でもちょっと訂正」
「何を?」
聞き返すと、次はふわりとした甘く優しい笑みが浮かんだ。
「どんな顔も可愛いけど、笑ってる顔が一番かわいいよ」
「っ! あ、ありがとう……」
そんな感じに、基本は村城くんがかわいいを連呼してばかりだった。
でも最後は二人で笑い合って、いい写真が撮れたみたい。
「そろそろ時間だし終わろうか」
長谷川さんの撮影終了の言葉で、今日の撮影は終わったのだった。
写真は良いのをピックアップして、後でデータとして渡してくれるそうだ。
私たちはお礼を言ってビルから出る。
丁度ランチの時間だからとそのまま近くのレストランで軽く食事を取っていると、雨雲が出てきたのか外は暗くなってきた。
「そういえば今晩は嵐になるって言ってたな」
村城くんの言葉に私も朝見た天気予報を思い出す。
「そうだったね。買い物もしなきゃならないから、早めに出ようか」
私の言葉に頷いた村城くんと共に、私たちは早めに食事を終えて買い物に向かった。