【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
 一週間も一人で家にいるのは寂しいけど、ちょっと楽しみでもある。

 再来年無事に大学に合格すれば、一人暮らしになるんだからその練習にもなりそうだしね。


 というわけで、宿題を終わらせて簡単に夕食を作って食べ、お風呂も入り終えてまったりしていたときだった。


 ピルルルルル!

 スマホの着信音が鳴って電話が来てることを教える。
 急いで画面を見るとお父さんからだった。

 いつも連絡はメールにするのに、電話してくるなんてどんな急ぎの用件なんだろう?

 不思議に思いながら、食べかけのカップアイスを片手に電話に出てスピーカー画像をタップした。


「はいはい、どうしたのお父さん?」

 軽く言いながら私はアイスを食べる手を再開させる。

『ああ、伊千佳。すまないが頼まれて欲しいことがあるんだ』

「なにを?」

『今からお前の同級生が家に行くから、彼を一週間家に泊めてやってくれないか?』

「………………は?」

 予想していない――というか、突拍子もないことを言うお父さんに私はアイスをすくったスプーンをピタリと止める。

 すぐには理解出来ない私にお父さんは続けて説明をした。
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