『ペットフード』
「“雨哥の次で良いから、雨哥を好きで良いから、私の事、雨哥と同じように愛して。雨哥と同じ愛をちょうだい”って言って来たんだ。普通の様子でさ…。
俺、意味分からなくて、苺美ちゃんを無理矢理離して帰ったんだ。
それから少しの間は現れなかったんだけど、たまに【会おう】って連絡が来て…。
雨哥と会ってる時も本当は苺美ちゃんが来るんじゃないかって内心不安で…。
でも、苺美ちゃん、それから少しの間、何も言ってこなかったんだ。
だからもう終わったのかな?って思ったんだけど、出張先にまで来るなんて…。
あの子…何なの?雨哥、そんな子だって知ってた?雨哥にもそんな風に…」

雨哥は苺美の真の心を知らない。
苺美が雨哥が好きだから琉羽を欲したのだと思ってもいない。
分からなかった。気付けない。
琉羽の事を好きになり、自分から取ろうとしているのだと思ってしまう。
苺美の本当の心は、苺美にしか分からない、
教えていないから。
聞かれてもいないから。
雨哥も聞こうとしなかった。
琉羽が好き、それ以外の気持ちだと思わなかったから、
本当は違う。
本当の苺美の心は…。
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