(更新停止)時の狭間
「あら、降参?」
特に咎めるでもなく、彼女は座り込んだ私を見て喉を鳴らし笑った。
あれからも壁を叩いてみたり、ドアノブを回したりしてみたものの、開く気配などなく今に至る。
「これって、ドアノブなの?」
再度がちゃがちゃと回してみても、何があるわけでもなく。
ただ回るだけの飾りにしか見えない。
首を傾げ、彼女を見やると白い腕がすっと伸びて来て。
その手はゆっくりとした動作でドアノブを持った。
「ドアノブだからって回すものだとは限らないのよ。」
どういう意味、そう問おうと口を開いた私だっだけれど、声を出すまで行かず。
彼女の行動に釘付けになった。
シオンさんは相変わらずゆっくりとした動作で、ノブをぐっと壁に押し込んだのだ。
本来回すものであるはずのそれは、今では壁に半分ほど身を沈めている。
誰がどうしてこんな造りにしたのだろうか。
がこん、大きく壁が鳴って、次の瞬間壁が上へと持ち上がった。
車一台が楽に通れそうな幅。
それが目の前に現れたのだ。
「どんな仕組みなのかはアタシも知らないわ。」
なんとも間抜けな顔をしているだろう私をちらっと見て。
彼女は先読みしたようにそう言うと、また愉快そうに笑ったのだった。