最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 私《《達》》が知っている普段の桜林茉莉愛は、おっとりした性格で優しい笑顔の穏やかな女性に映っていた。それに貧血でいつも具合が悪そうなところばかりが目立っていた……はずなのに、今は全然違う。私はそれ以上にさっきの出来事も含めて、彼女の別の一面を知ってしまった気がする。

「私達、まだ桐葉さんの事をよく知らないので色々教えて欲しいなって思っているんですよ。ね、棗さん」
「えっ……」

 桐葉さんに体を寄せたまま私にニコッと笑顔を向け、そしてなぜかこっちに話を振ってきた。
 飲み会が始まった時はそんな素振り、微塵も見せなかったのに。どうして急に私や桐葉さんに馴れ馴れしさを出してきた? それも《《彼氏》》の目の前で、まるで見せつけるかのように――

 だけど彼にハニートラップは通じない。色目を使った茉莉愛ちゃんの誘惑に一切動じず、お水を一口飲みながら淡々と答える。

「別に教えるような事は何もないしプライベートを話す気も、なんなら知ってもらう必要もない。悪いが仕事だけの関係で十分だ」

 しっかりした大人というか、この人らしいというか……清々しいくらいバッサリ切り捨てらてるところは尊敬ものだ。
 
 さすがにここまで言われたら茉莉愛ちゃんも諦めて引くだろうと思ったのに、案外そうでもなかった。

「そんな所が桐葉さんのミステリアスな部分で良いんですよ。ね? 棗さんもそう思いませんか?」
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