エリートSPはウブな令嬢を甘く激しく奪いたい~すべてをかけて君を愛し抜く~
 由香里は私にとってかけがえのない大切な存在だ。

 明るくて優しくて、私の味方になってくれる。学生時代はバイトばかりで友人付き合いも少なく、親友と呼べる存在もいなかった。

 そんな私に初めてできたなんでも話せて、気を許せる友達が由香里だった。

「だからもうそんなこと言わないでほしい。久次さんとの結婚で私もお父さんも救われるんだから。……それに久次さんと結婚したら私たちは義姉妹になれるんだよ? 私はすごく嬉しいのに由香里は違うの?」

「嬉しいに決まってるじゃない! ……だけどやっぱり何度も聞いちゃうよ。紅葉はお兄ちゃんと結婚して後悔しないの?って」

 後悔、か。もちろん私にだって理想の結婚像みたいなものはあった。

 多くのことは望まない、ただ両親のように互いに愛し愛されるような夫婦になりたいと。

 でも望むこと、願うことほど叶うものではないのかもしれない。

「後悔はしないよ。借金だけではなく、お父さんの生活費や治療費はもちろん、今後もことも保障してくれるし、私にだって働かずに家庭に入っていいって言ってくれた。それはきっと誰もが羨む理想の結婚でしょ?」
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