忘れさせ屋のドロップス
『有桜、あなた分かってるの!私も先生もね、あな』
「おねがい!連絡……して、こないで……」
私は遮るようにして一方的に電話を切ると、電源も切った。
大きく深呼吸する。大丈夫。この間、遥が言ってくれたみたいに、ゆっくり、ゆっくり息をすれば……
「はっ……はぁっ………」
遥。こわい。上手に息ができなくて。遥が居ないとこわくてたまらない。
段々と頭がぼんやりしてくる。ガタンと音がして、自分が椅子から滑り落ちたことに気づいた。
『大丈夫、大丈夫だから』
遥の声を思い出そうとするのに、苦しくて、遥の声もわからなくなってしまう。
息をしようとする度に、どんどん苦しくなって、水の中で溺れてるみたいだ。
「は……るか……」
名前を呼ばずにはいられなかった。息が出来なくて、怖くて、遥に会いたくて。滲んだ景色は、どんどんぼやけて曖昧になっていく。
瞼が強制的に閉じられて暗闇の中に放り込まれた。
「そ、ばに……居て」
辛うじて発した言葉は誰にも届かず、暗い部屋に消えて行く。
視界は何故か歪んで気づいたら、床が見えていた。やがて、その視界さえも暗闇が剥ぎ取るようにゆっくり奪われた。
ーーーーカランと扉の開く音がする。
「有桜!」
遥の呼ぶ声が聞こえた気がした。
「おねがい!連絡……して、こないで……」
私は遮るようにして一方的に電話を切ると、電源も切った。
大きく深呼吸する。大丈夫。この間、遥が言ってくれたみたいに、ゆっくり、ゆっくり息をすれば……
「はっ……はぁっ………」
遥。こわい。上手に息ができなくて。遥が居ないとこわくてたまらない。
段々と頭がぼんやりしてくる。ガタンと音がして、自分が椅子から滑り落ちたことに気づいた。
『大丈夫、大丈夫だから』
遥の声を思い出そうとするのに、苦しくて、遥の声もわからなくなってしまう。
息をしようとする度に、どんどん苦しくなって、水の中で溺れてるみたいだ。
「は……るか……」
名前を呼ばずにはいられなかった。息が出来なくて、怖くて、遥に会いたくて。滲んだ景色は、どんどんぼやけて曖昧になっていく。
瞼が強制的に閉じられて暗闇の中に放り込まれた。
「そ、ばに……居て」
辛うじて発した言葉は誰にも届かず、暗い部屋に消えて行く。
視界は何故か歪んで気づいたら、床が見えていた。やがて、その視界さえも暗闇が剥ぎ取るようにゆっくり奪われた。
ーーーーカランと扉の開く音がする。
「有桜!」
遥の呼ぶ声が聞こえた気がした。