冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「望は奥村フーズに戻るの?」

父が厳しい表情で首を左右に振った。

「仕事を放棄していった望を、おいそれと奥村フーズには戻せない。奥村フーズは私の部下たちに任せることになる。望もそれでいいと言っていた」

さすがに父は甘くなく、望もそこは理解しているだろう。
望と可世さんがこれからどこに居住し、生活していくかはまだわからない。しかし、可世さんの赤ちゃんが生まれれば、両親には孫で、未来には従兄弟ができることになる。
その幸福は大事にしていきたい。

「ふたりは今夜、中安議員と会うと言っていた。少し心配だな」

父が眉をひそめて言う。私もうなずいた。
当時我が家に乗り込んできた中安議員夫妻が、冷静にふたりと話してくれるかわからないからだ。

「可世さんも身重だし、認めざるを得ないでしょうよ」

執り成すように言う母も心配そうだった。
未来がよちよちと私のところへやってくるので抱き上げた。何かあったら連絡するように、今のスマホの連絡先は伝え合っている。平和に話し合いが済めばいいのだけれど。

「ふたりの今後については、私と豊さんも相談に乗れるようにするつもり。お父さんとお母さんは心配いらないからね」

私は敢えて明るく言い切った。このまま何事もなく、挨拶が終わってほしいと願っているのは私も一緒だった。
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