冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「可世さんはどう?」
『順調だよ。十二月に入ったら、もういつ生まれてもおかしくないってさ』

あの日、望と可世さんは中安夫人と豊さんの手配で、再び東京を離れた。中安夫人が身重の可世さんのために、縁者のいる北海道の病院を手配したそうだ。私の知らないところで、豊さんも動いていて、現地までの飛行機やホテルの手配、住居なども世話をしたそうだ。
現在ふたりは北海道のある街で、赤ちゃんを迎えようとしている。

『父さんと母さんは元気? 挨拶もできなかったから』
「そこは心配しないで。赤ちゃんが生まれて、様子を見て会いに行きたいってふたりとも言ってるよ」
『姉ちゃんと豊さんもやっと入籍できるんだろ。お祝いのひとつもできなくてごめん』

私と豊さんは来週入籍する予定になっている。本当はもう少し早い予定だったんだけれど、先日の週刊誌などのごたごたで笛吹社長との挨拶がずれこんでしまったのだ。

「いつかみんなが気がねなく会える日がきたら、そのときにお祝いしよう。望たちの結婚や赤ちゃんの誕生、私たちの結婚なんかをね」
『その頃には、未来に弟か妹ができてそうだな』

望の言葉に、私は足元で遊んでいる未来を見つめた。未来に弟妹、それももうあり得ることなのだ。
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