冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす
「豊さんは、弟に恨みがあっても、私と未来を巻き込んだ点については思うところがあるんだと思う。だから、私たちに不自由させないようにしてくれてるんだ。それだけだよ」
「本当にそれだけかなぁ。あとは、明日海に対しての感情って可能性もあると思うよ」

藍が言い、私は首をかしげた。私に対して?

「笛吹さん、明日海のことが好きなのかもね。好きな女性だから、連れ子も大事にしたいのかもよ」
「まさか」

思わず強く否定してしまった。

「弟があんなことをしたんだよ。その身内を好きになるわけない。きっと、本当は関わるのだって嫌だと思う」

私の全否定に、藍は少し黙って、それから笑った。

「ごめん、ごめん。憶測でしゃべりすぎたね。私は、明日海と未来ちゃんが嫌なこともなく暮らしていると知れてよかった。水遊びには連れていけないうちに秋だけど、今度遠出しようね」
「うん」

深く立ち入ってこない藍の友情に感謝しながら、私は心の中で豊さんのことを思っていた。

彼と未来と過ごす日々は、不思議と穏やかだ。
豊さんは、以前より私と未来に関わろうとしてくれている。放っておくことで私たちの自由を尊重していた当初と違い、今は関わることで私の心身の負担を軽減しようとしてくれている。この差は大きく、正直に言えば戸惑っている。
嬉しいと感じる自分と、困惑する自分を感じる。そして、そんな自分自身に自己嫌悪に近い感情も覚えていた。

彼の前から消えたのは私で、彼に黙って未来を産んだのも私なのだから。
そして、これからも私は未来の真実を彼に告げる気はないのだ。
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