厄介なイケメン、拾ってしまいました。
「カルビ、タン塩、ト〜ントロっ♪」

 キラキラした目で、楽しそうにお肉を焼いていく蓮くん。
 そんな彼を、ちょっと可愛いとか思ってしまう。

 ヤバイ。可愛いとか、何?

 いや、これは、ペットだからだ。
 ペットに愛着が湧くのは普通じゃん?

 謎の自問自答を繰り広げていると、どんどんと私のお皿に焼き上がったお肉が置かれていく。

「え、蓮くんのは?」
「俺は後でいーよ。食い放題だし。ご主人さまの為に働くペットですから」
「ああ、そう」

 それは執事か何かでは? という疑問は胸にしまう。

 と、突然口元にやってくるお肉。

「ほら、紗奈、あーん」

 あ、あーん? だと?

「紗奈は一人じゃ食べられないのかと思って」
「た、食べられます!」

 赤くなって箸を奪い取れば、ケラケラ笑いながらお肉奉行に戻る蓮くん。

「ペット相手に何照れてんの?」
「こら、オトナをからかうんじゃありません」

 何気なく言った一言なのに。

「オトナ、か……」

 彼は一瞬、寂しそうな顔をした。
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