厄介なイケメン、拾ってしまいました。
 蓮くんと手を繋ぎ歩くのは、若い子しかいない、都会の街。

 すれ違っていく、おしゃれな女の子。盛り上がっている、若いグループ。
 そんな中に、年齢差14歳の私たちは、浮いている、と思う。

 っていうかさ、これ、よく考えたら、ヤバイよね。
 14歳も年下のイケメンと、手を繋ぐ痛いオバサン、の図を脳内に浮かべる。

「紗奈、俺の好きな服屋、あっち!」

 蓮くんは私の手をぐいぐい引っ張る。
 私は引きずられるまま、彼についていく。

 けれど、思考は別の方向に引っ張られていた。

 ってか、14歳も年下の男の子と、私、昨日……

 ってか、私、既婚者!

 何事もなかったかのような朝になったけど、よく考えればものすごくヤバいことをした気がする。
 ってか、悔しいからって、いくらなんでもペットになれって言うのは……

「あーーーーーーっ!」

「どうしたの?」

 突然叫びだした私の顔を、蓮くんが覗く。

「顔、赤くなったり青くなったりしてるし、急に叫ぶし。意味分かんない」
「分かれ。それでも私のペットなの?」

 わざと彼を睨んだのに、蓮くんはニヤニヤと私の顔を見て笑っただけだ。

「服屋の前に、お腹すいた」
「はい?」
「紗奈、肉食いたい!」
「ええ……?」

 突然何を言い出すかと思いきや、通りにいた焼肉屋のチラシを配る店員に声をかける蓮くん。そして、言葉巧みに二言三言交わして……

「なら、半額でいいっすよ」

 なぜか、一人分の料金で、二人分の焼肉食べ放題を食べれることになってしまったのだ。
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