不倫の女
 棺の蓋を開いたままでいることを思い出した。

 私は棺の中を見ようかどうしようかを考えて、結局やめることにした。

 何から何まで嘘だったとしても――

 私が彼に抱いていた感情だけは本物だったのだから。

 それだけは真実だった。

 きっとそれだけが真実だった。

 いっそ本当に死んでくれていた方が良かった。

 これがあの女の復讐の始まりということなのだろう。

 裕太さんがこの世にいない、という現実を知って、ただひたすらに泣き続けた。

 その涙は、今まで流したことのない種類の涙だった。
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