君を手に取る1秒前
さよなら、そして愛してる。
あれから5年が経った。
「荷物は……これくらいか。」
健人は作家になり、紗奈との出来事を本にした。
「紗奈、こんな事書いたなんて知ったら怒るかな……」
と最初は心配していたが、もう紗奈と会う事はないから、といってそんな感情は消し去った。
あの後紗奈は本当に引っ越した。
だから紗奈とはあれ以来会っていないし、連絡もしていない。
一方の健人は、本格的に作家を目指すため東京に1人上京した。
今日は、住むことになったアパートに荷物を設置していた。
すると、ふと目が窓に引き寄せられた。
窓の外を見ると、一段と大人になって歩いている紗奈の姿があった。
その次の瞬間には、もう俺は走り出していた。
「紗奈!!」
そしてミサンガは解け、ひらりと床に落ちた。



もし、奇跡が起きたら。
もし、もう一度君と巡り会えたら。
今度こそは幸せにするって、曇りのない笑顔で笑わせてやるってーーー
だから、だからもう一度だけ



ーーーー幸せの日々を。



私は、健人を残して東京に引っ越した。
今は成人して、立派な社会人。
あれから健人とは会っていない。
「〜〜〜♪」
するとどこかから音楽が流れてきて。
この曲、健人とよく聞いた曲だ……。
今頃、どうしてるかな。




もし、奇跡が起きたら。
もし、もう一度君と巡り会えたら。
お互い幸福を取り戻せた今。
あの涙は嬉し涙に変わるかもしれない。
そう期待してしまっている自分がいる。
健人……会いたいなぁ。
「紗奈!!」
背中の方から聞こえてきたのは、会いたくて仕方の無い、愛しい人の声だったーーー
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