*結ばれない手* ―夏―
「モモたん、やっぱりナッギーのこと好きなんでショ? あのお説教で怪我した後、二人がラブラブだったって聞いちゃったもんネ~!」

 ──ひいいいいっ! 嘘……!? こ、怖っ!!

 余りにも素早い情報伝達、()つその湾曲具合に恐れ(おのの)くモモと、「討ち取ったり!」といった様子のリン。

「あんなおっかないナッギー操縦出来るの、きっとモモたんだけダヨー! だからね、もうリン、ナッギーは誘わないから安心シテ!!」

「そ、そうですか……」

 モモはカチコチになった笑顔を向けながら何とか返事をし、やがて面倒臭そうな顔をした凪徒と、何故か嬉しそうな暮が秀成の後ろからやって来た。

「アレ? クレりんも行くの?」

「行っちゃ悪いかよ~! お前達のラブラブを邪魔してやるっ!!」

 と、目の前に立つ秀成の首を羽交い絞めにした。

「く、暮さんっ、苦し……! は、早く行かないと花火終わっちゃいますよ~!!」

 悶絶しながらも急がせる秀成は、相変わらず凪徒と暮のおもちゃ扱いだ。

 「ああ、そだな~」とマイペースな暮から解放されて、ホッと一息ずれ落ちた眼鏡を直した。


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