素敵な天使のいる夜にー4th storyー
必要な判断
ーside 沙奈ー
気づいたときには、ベッドの上だった。
消毒液の匂いと、見慣れた天井で今私の置かれている状況を全て理解した。
そうだ、私…
実習中に倒れたんだっけ…
「……起きたか?」
低くて、落ち着いた声。
その声だけで、胸が少しだけ締めつけられる。
「……大翔先生」
白衣のままの大翔先生は、いつもと同じ表情をしていた。
でも、私を見つめる瞳だけがわずかに揺れている。
「無理をしすぎだ」
短めにかける言葉には、責めるでもなく、慰めるでもない感じが伝わった。
ただ、事実だけを置くような声が私の今までの無理を理解しているような言葉だった。
今の私には、少しだけ苦しい。
「……これくらい…大丈夫。少し休めば」
そう言いかけた瞬間、言葉を遮られた。
「ダメだ」
はっきりと。
逃げ場のない強さで。
一瞬、息が止まる。
「実習は、一旦ストップだ。
沙奈、これ以上にもう無理をさせられない。」
――わかっていたはずなのに。
その言葉が、思っていたよりもずっと重く落ちてきた。
「……嫌です」
気づけば、そう言っていた。
子どもみたいな声だった。
「ここで止まったら、私……」
続きが出てこない。
何が怖いのか、言葉にできない。
「戻れなくなる気がするから…」
やっと絞り出した声は、かすれていた。
大翔先生は、少しだけ目を伏せる。
それから、静かに言った。
「ごめん…。それでも止める。」
優しさの滲む言葉の中にある
“医者としての判断”。
「沙奈。沙奈が今やるべきことは治療をしてゆっくり休むことだ。
ここで無理をしたら、それこそもう戻れなくなってしまうんだよ。」
その言葉が、まっすぐ胸に刺さる。
分かってる。
大翔先生は、私の為を思って言ってくれていることも。
主治医と彼氏という肩書きが、大翔先生の中でたくさん葛藤していることも…。
だけど…
真っ直ぐ突き刺されたその言葉に、ぐらっと何かが崩れる音がした。
それ以上にはもう、否定する言葉が出てこない。
身体も心も、もうとっくに限界を超えていた。
どうしようもなく溢れ出す涙が抑えることができなかった。
そんな私の姿を見て、大翔先生はただ、優しく抱き寄せてくれた。
いつもは安心できるはずの大翔先生の体温や鼓動が
今の私には、ただ苦しくて仕方なかった。
気づいたときには、ベッドの上だった。
消毒液の匂いと、見慣れた天井で今私の置かれている状況を全て理解した。
そうだ、私…
実習中に倒れたんだっけ…
「……起きたか?」
低くて、落ち着いた声。
その声だけで、胸が少しだけ締めつけられる。
「……大翔先生」
白衣のままの大翔先生は、いつもと同じ表情をしていた。
でも、私を見つめる瞳だけがわずかに揺れている。
「無理をしすぎだ」
短めにかける言葉には、責めるでもなく、慰めるでもない感じが伝わった。
ただ、事実だけを置くような声が私の今までの無理を理解しているような言葉だった。
今の私には、少しだけ苦しい。
「……これくらい…大丈夫。少し休めば」
そう言いかけた瞬間、言葉を遮られた。
「ダメだ」
はっきりと。
逃げ場のない強さで。
一瞬、息が止まる。
「実習は、一旦ストップだ。
沙奈、これ以上にもう無理をさせられない。」
――わかっていたはずなのに。
その言葉が、思っていたよりもずっと重く落ちてきた。
「……嫌です」
気づけば、そう言っていた。
子どもみたいな声だった。
「ここで止まったら、私……」
続きが出てこない。
何が怖いのか、言葉にできない。
「戻れなくなる気がするから…」
やっと絞り出した声は、かすれていた。
大翔先生は、少しだけ目を伏せる。
それから、静かに言った。
「ごめん…。それでも止める。」
優しさの滲む言葉の中にある
“医者としての判断”。
「沙奈。沙奈が今やるべきことは治療をしてゆっくり休むことだ。
ここで無理をしたら、それこそもう戻れなくなってしまうんだよ。」
その言葉が、まっすぐ胸に刺さる。
分かってる。
大翔先生は、私の為を思って言ってくれていることも。
主治医と彼氏という肩書きが、大翔先生の中でたくさん葛藤していることも…。
だけど…
真っ直ぐ突き刺されたその言葉に、ぐらっと何かが崩れる音がした。
それ以上にはもう、否定する言葉が出てこない。
身体も心も、もうとっくに限界を超えていた。
どうしようもなく溢れ出す涙が抑えることができなかった。
そんな私の姿を見て、大翔先生はただ、優しく抱き寄せてくれた。
いつもは安心できるはずの大翔先生の体温や鼓動が
今の私には、ただ苦しくて仕方なかった。

