金の草鞋を履いてでも…
こんな夢を見た
森川と再会した夜、こんな夢を見た。

何とも奇妙な夢である。

私が魔法の解けたシンデレラで、ガラスの靴の持ち主を探していた王子は別れた彼。

「里佳子…この靴を履いてみて」

彼はそう言うけれど、

「私たち、もうとっくの昔に終わってること…あなただって気付いているはずよ?」

「それもそうだな…」

そう言うと、彼はさっさとその場を立ち去っていく。

(きっと私、恋愛不適合者なんだろうな…)

そう思い、どこか淋しい気持ちで俯いていると、視界に金の草鞋を履いた足が見えた。
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