幼馴染が××すぎる。
「……くっさ。なにこの匂い。」




鼻をつまんで思い切り顔をしかめる、キヤ。




「ッ、ゴフッ、ゲフン!」


何か言おうとしたら、辛いのが喉に張り付いてむせる。


「うわ、なんだよその赤いやつ。…お前顔やばいよ」



「な…なんで…?」



「なんでってなにが」



キヤはいつも通りカバンを椅子に置いて、洗面所に手を洗いに行く。



「え…?だって、はやくない?」


「…」



キヤは聞こえてるんだかいないんだか、無言でテキパキと片付けを済ませていく。



「…行ったんだよね?体育館裏」

「おー」



それだけ言うと、キヤはおもむろにキッチンに行って私が作りすぎた激辛冷麺のラップを外した。



「!ゲホッ、ゲフッ…え、やば」



キヤは匂いだけでむせかえるほどのそれにドン引きしながら、

それを机に持ってきて引き出しからお箸を取り出し、冷蔵庫に向かう。



「え…?何してんの?」


「ゲホッ、…、腹減ってんだよ」


「え?ちょ、ちょっと待って、ご飯食べてきてないの?美鈴は?」



キヤは私を一瞥してから、



「……誰とメシ食うかは、俺が決める。」



そう言ってゴソゴソ冷蔵庫を漁る。

キヤの横顔がやけにイケメンに映って、また胸がざわついた。




キヤはいつもと同じ私の対面に座って、2リットルの水をドン!と傍に置くと、手を合わせた。



「いただきます」

「あ、待って、キヤにはむ…」



『り』を言う前に、辛いものが大の苦手なキヤが、真っ赤な冷麺を口に入れた。
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