オトメの魔法
ー魔法?

そんなことはないけれど,女の子はくすくすと笑い声が聞こえた気がしました。

女の子は困ります。

お話してしまっては,もう捨て置けません。

もともとそんなつもりが無かったにせよ,不安になったのです。

ーねぇ,ご飯たべたら,元気になる?

『そうだよ』

ーうさぎさん,あなた,何を食べるの?

『何でも食べれるよ』

女の子は,うさぎが何を食べるかなど全くしりません。

何でも食べれると聞いた女の子は流石に

ー嘘よ!

と叫んでみても,うさぎは

『嘘じゃないわ』

と澄まし顔。

女の子は固く握っていたこぶしを開きます。

その手の中には,500円が1つ。

それは女の子が,1ヶ月家のお手伝いを頑張った証拠でした。

ご飯を買ってあげたら…もう本は買えない。

けれど,女の子はぎゅっと唇を噛んで,それを口にはしませんでした。
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