オトメの魔法
ーごめんなさい。ありがとう…! 

『怖い思いをさせてごめん。君は何をしていたの? 危ないよ』



眉を下げた王子様は,軽く女の子を諌なめました。

女の子はしゅんとして,けれど自分の状況を思い出します。

ー私,自分のお家に帰りたいのに,帰り方が分からないの。

『そうなのか,可哀想に。なら,俺の馬に乗ったらいい。今日は舞踏会を開く予定なんだ』

俺…王子様は私と言うのかと思ったわ。

格好いい王子様の手を取ると,力強く,綺麗な白馬の上に引き上げられました。

横向きに乗せられ,ドキドキが止まりません。

何て近いの!

女の子を挟んで手綱を操る王子様との距離は,これ以上無い程近づいていました。
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