断罪された真の聖女の愛情たっぷり癒しご飯


 一度にこんなにたくさんの妖精が手を貸してくれるなんて信じがたい。メライアは夢でも見ているのかと自身の頬を抓って確認を取っていた。
「ゆ、夢じゃ、ない……?」
「夢じゃありませんよ」
 それでもメライアは目を白黒させている。
 リズは集まってきた妖精たちに向かって声を掛ける。
「じゃあ、妖精さんたちお手伝いをよろしくお願いします」
 リズが頼むと、妖精たちは一斉にはーい! と手を上げて返事をする。

 彼らに新しい氷枕と古い氷枕を取り替える作業をお願いして、リズとメライアはベリーレモネードを患者たちに飲ませることにした。メライアが患者の身体をゆっくりと起こしてベリーレモネードを飲ませる。体勢が変わったことで、冷たい果実水は難なく患者の喉を通っていった。
 するとどうだろう。肌に浮き出ていた紫色の痣が消えていくではないか。

「わあっ、どうして? 紫色に浮いていた痣が消えていきますよ!?」
 何故こんなことが起きているのかリズにはさっぱり分からない。メライアに視線を向けると彼女も呆けているだけだ。
 ややあってからメライアは患者を寝かしつけると、足早に病室から出て行ってしまう。そしてすぐにヘイリーの腕を引っ張って戻ってきた。

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