断罪された真の聖女の愛情たっぷり癒しご飯

第7話



 離れ棟から戻り夕食の準備をしていたリズはヘイリーに呼び出されたので重たい足取りで廊下を歩いていた。
「やっぱり司教様、怒ってらっしゃるでしょうね」
 これからのことを予期して気が気でない。はあっと深い溜め息を吐いていると、一緒に付いてきてくれている妖精たちが口々に言う。

『リズ、ヘイリーに叱られるのが怖いの?』
『リズを泣かせたら僕が仕返しするー』
『完膚なきまでにやっつける』

 三人の妖精は可愛らしい声でとんでもなく物騒なこと言い始める。終いには、どういう方法での仕返しが一番効果的なのか話し始めたので慌ててリズは割って入った。
「あ、ありがとうみなさん。だけど今回は私が悪いので叱られて当然です。お願いだから仕返しはやめて?」

 必死に頼み込むと三人が輪になってひそひそと話し始める。それからこちらを向いてにっこりと笑顔を見せた。
『リズがそう言うなら』
 妖精たちが引き下がってくれたのでリズは安堵の息を漏らす。しかしそれも束の間、司教室の前に辿り着いてしまったのでたちまち緊張を覚える。

 リズは一度深呼吸をしてから控えめに扉を叩いた。返事があったので部屋の中に入ると、何故かケイルズとメライアもいた。
(ま、まさか三人から叱られる?)
 普段温厚な人たちから一斉に怒られる時程、身に堪えるものはない。
 リズは涙目になりながらヘイリーが座っている机の前まで歩いて行く。

「……あの、司教様。お呼びでしょうか?」
「夕食の準備中なのに呼び出してすみません。みなさんをお呼びしたのは報告することがあるからなんです」

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