花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「うん」という眠そうな声で返すと、彼女は俺の首に手を巻きつけてきた。
もうちょっとで寝そう。
マンションの近くにあるコンビニが見えてきて花音に「コンビニ寄る?」と尋ねたが、今度は返答がない。
彼女の身体の力も抜けたような気がする。
これは寝たな。
クスッと笑ってマンションの彼女の部屋まで行く。
「花音、着いたよ」
少し彼女の方を向いて知らせるが「う……」という曖昧な声が返ってきただけ。
彼女のバッグを漁って鍵を出す訳にはいかない。
「うちに連れて帰るか」
どうせ隣の家なのだから、目が覚めたらすぐに帰れる。
スーツのポケットから家の鍵を出して素早く開けると、玄関で彼女の靴を脱がした。
だが、彼女は起き上がらず、廊下に寝そべる。
「……冷た……」
彼女の目は閉じたまま。
どうやら寝言らしい。
「こらこらここで寝ない」
花音を注意して抱き上げると、寝室のベッドに運んだ。
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