花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
《まさか日本にいるとはな》
彼がまだ心配そうに確認してきたので安心させるように言った。
『できる限り花音のそばにいるようにしますが、神宮司さんも理事長の動きに目を光らせてくれると助かります』
理事長がディランに加担すれば、なにをしてくるかわからない。
《わかった。なにかあれば知らせる》
『よろしくお願いします。じゃあ』
花音がリビングに戻ってきたので、神宮司とそう約束してすぐに電話を切った。
彼を味方につければなにかと安心だ。
神宮司の理事長はなかなか食えない人物。
アストルムが一二三の買収を企てている以上、そちらの対策に力を入れなければいけない。
理事長に変な動きをされては困る。
風呂から上がってテントに戻ると、花音がソファに座って外の景色を見ていた。
眠くてまどろんでいるというよりは、どこか所在なさげにしている。
 「あれっ、寝てなかったの?」
日中結構動いたから、てっきり寝ているかと思った。
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