花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
まだ俺に頭を下げながら田辺は悔しそうに唇を噛み締める。
「彼女の祖父が迎えに来てたんだ。仕方ないよ。田辺のせいじゃない」
彼の肩をポンと叩いたら、直也が現れた。
「あれ、ふたり真剣な顔してどうしたの?」
「今さっき神宮司から花音がラドクリフに台湾に連れ去られたって連絡があった。俺はこれから自宅に寄ってから羽田空港に向かう。俺の秘書にプライベートジェットを至急用意するよう頼んでおいて」
口早に伝えると、直也は俺の目を見てコクッと頷いた。
「わかった」
「あと例の件、進めておいて。後のこと頼む」
直也にそう言ったら、彼にバチンと背中を叩かれた。
「こっちのことは任せろ、蓮、必ず藤森さん連れて戻ってこい!」
「岡本さん、絶対に花音先輩を連れ戻してください。
直也と田辺のエールに胸が熱くなる。
「必ず」とふたりに約束すると、自宅にパスポートを取りに戻ってすぐに羽田空港に向かった。
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