花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
岡本さん、このご恩一生忘れません。いつか恩返しさせていただきますね。
ちょっと幸せに浸りながらしばらく論文を書いていたら、総務主任の葛城玲子さんがやってきた。
「花音ちゃん、おはよう。朝からなにニヤけてるの?」
「おはようございます。チョコを食べて幸せを感じているんですよ」
玲子さんはサラサラのショートヘアで、背も高くてスタイルもいい。仕事もできて私の憧れのお姉さまだ。彼女は私の六つ上の先輩で、浩ちゃんの元カノ。
玲子さんが浩ちゃんと付き合っていた時から彼女とは仲良くしていて、今でも定期的に食事に行っている。
私にとっては先輩というよりは姉のような存在で、神宮司家の事情にも詳しい。
「なんだ。てっきり男のことでも考えているのかと思ったわ」
私の返答を聞いてちょっとがっかりした顔をする彼女の肩をポンと叩いた。
「やだなあ。私に恋人がいないのは玲子さんが一番よく知ってるじゃないですか」
「浩介がいたら難しいわよね。でも、昨日研究員の岡本さんに膝枕されてたって所内で噂になっているわよ」
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