花婿候補は完璧主義の理系御曹司!? 〜彼の独占欲には抗えません
「ええ。実験データの解析が終わったので。藤森さんもあまり根を詰めすぎるとよくないですよ。あと、栄養ドリンクは飲まないように」
ポンと私の頭を軽く叩くと、彼はポケットから缶の箱を取り出して私のデスクに置いた。
「頭に栄養忘れずに」
「へ?」
呆気に取られながらスタスタと去っていく後ろ姿を見送るが、はっと我に返り彼がデスクに置いた缶の箱に目を向ける。
それは青山にある有名店のチョコレート。
「これ、ひと粒五百円する超高級チョコじゃない?これもらっていいの?」
昨日彼が私に食べさせたのも恐らくこのチョコなのだろう。
とても美味しかったもの。
ひょっとして、私、彼の中でかなり疲れた人に認定されてる?
でも、せっかくのご厚意だ。ありがたく頂こう。
岡本さん、ありがとうございます。
すでに彼の姿はなかったけれど、手を合わせて拝み、缶を開けて早速チョコを口にした。
この舌でとろける感じがたまらない。
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