ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
第六章 変わり始める日常
王宮に戻ったエドは、頭を抱えていた。
今でも目にくっきりと焼き付いているあの時の光景。
エドの肩に担がれたシアが右手を振り上げる。それと同時に、一掃される魔物。
そして、エドが剣を振り下ろした瞬間真っぷたつに割れた岩から飛び出してきた瘴気の塊。
それがシアの身体に吸い込まれていったら――銀色だった彼女の髪も、青かった彼女の瞳も、どんどん黒く染まっていく。
そして、彼女が瘴気の浄化を終えた瞬間、元の色に戻っていったのをエドは見逃さなかった。
つい、あの時「聖女」と口走った。ヴィニーシアの名を呼ばなかっただけ、上出来だ。そして、すぐに「聖女みたいだ」と言い直した。なんだか、彼女はそう呼ばれるのを好まないような気がして。
(このところ、身体の調子がいいのは彼女のおかげだったかもしれないな)
気づいてしまえば、後悔の念は大きくなる一方である。
「……ヨアキム、俺は、どうしたらいい?」
「どうしたらって、俺に言われても困ります」
頼りになる側近は、いつも以上に冷たく返してきた。自分で考えろと声音で告げてくる。
「たぶん、俺と関わり合いたくはないんだよな」
今でも目にくっきりと焼き付いているあの時の光景。
エドの肩に担がれたシアが右手を振り上げる。それと同時に、一掃される魔物。
そして、エドが剣を振り下ろした瞬間真っぷたつに割れた岩から飛び出してきた瘴気の塊。
それがシアの身体に吸い込まれていったら――銀色だった彼女の髪も、青かった彼女の瞳も、どんどん黒く染まっていく。
そして、彼女が瘴気の浄化を終えた瞬間、元の色に戻っていったのをエドは見逃さなかった。
つい、あの時「聖女」と口走った。ヴィニーシアの名を呼ばなかっただけ、上出来だ。そして、すぐに「聖女みたいだ」と言い直した。なんだか、彼女はそう呼ばれるのを好まないような気がして。
(このところ、身体の調子がいいのは彼女のおかげだったかもしれないな)
気づいてしまえば、後悔の念は大きくなる一方である。
「……ヨアキム、俺は、どうしたらいい?」
「どうしたらって、俺に言われても困ります」
頼りになる側近は、いつも以上に冷たく返してきた。自分で考えろと声音で告げてくる。
「たぶん、俺と関わり合いたくはないんだよな」