ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
 もし、〝ヴィニーシア〟が〝エヴァンドロ〟と関わりを持とうとしていたら。
 離宮になんて入らず、エドに呪いを解いてやろうと口にするだけでよかった。
 そうしたら、エドはシアを離宮に行かせず、丁寧にもてなしただろう。結婚はしないと決めているから、王妃にはできなくても、隣国から送られた聖女として。
 だが、シアはそうしなかった。ただ、こっそりとエドにかけられた呪いを解き、そして離宮に入った。
 初対面の時のエドの対応は最悪だった。
それにもかかわらず、今日、この街を救うのに全力を尽くしてくれた。

「気付いていないふりをした方がいいんだろうか……それとも、きちんと話をした方がいいんだろうか」

 今さらの謝罪と礼を、彼女は受け入れてくれるだろうか。

「陛下に気が付かない彼女の方も相当ですけどね」

髪を染めていたために、シアの方はエヴァンドロとエドが同一人物であることには気づいていないらしい。
 エドは髪を染めているが、シアとはほとんど間近で話をしたことはない。直接顔を会わせたのも、二度である。

「ヨアキムが気づいてないのは驚きだな」
< 189 / 286 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop