ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!~10回殺され追放されたので、今世は自由気ままな人生を満喫してもいいですよね?~
(なぜだろう)

 今まで、女性を強く意識したことなんてなかったのに。

「陛下。今日は顔色がいいんですね」
「そうか?」

 頬に手を当ててみる。ヨアキムにわかるほど顔色がいいということは、やはり、彼女がなにかしたのだろうか。

「そうそう、彼女一応瘴気を祓う能力を持っているのは事実だそうです。あまり腕はよくないようですが、こちらに協力する気はあると」
「――そうか」

(彼女に、悪いことをしてしまっただろうか)

 理由も聞かず、国に送り返そうとした。そして、その次には離宮に送り込んだ。
 シアの瞳を思い出すと、どうにも落ち着かない気分になるのはなぜだろう。

(いや、呪われている俺には近づかない方がいい。これでいいんだ)

 自分に言い聞かせるように、心の中でつぶやくと、エヴァンドロは新しい書類を手元に引き寄せたのだった。
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