オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
「想われて結婚するのは女の幸せだと、私は思う。相手が春樹君なら、尚更ね。顔よし、性格良し、背も高いし、時期社長、さらに、明香に、首ったけ」

奈々な猫目を細めながら、私の手を握った。

「でもさ、もし少しでも迷いがあるなら、無理して結婚しなくてもいいんだよ、明香は、自分の意見をいうのが苦手だから。前言ってたよね?春樹君と喧嘩したことないって。
……それって、明香が、春樹君にいつも、合わせてるからじゃないかなって」


私が春樹に合わせてる?


「あ、ごめん、春樹君に嫌なとこないだけならそれでいいんだけど。ただね、喧嘩したりさ、言いたいこと言いあえて、明香が無理せずに、ただ側にいるだけで幸せだって感じる人と結婚して欲しいなって」

奈々が私の頭を撫でた。冬馬がよくしてくれたように。

「ありがとう、奈々」

「どういたしまして、じゃあ、野郎共に喝をいれに行きますかね」


今夜が冬馬と見る最後の星空になるんだろう。

ーーーー冬馬に話そう。あの日言えなかった言葉も、閉ざしてきた想いも。

そしてもう二度言わない。

私は春樹と幸せにならなきゃいけない。




「篤、降ってきたな」

ふわりと小さな白い粒が、藍の空から降ってくる。

俺がニコチンを、吐き出すたびに白い吐息と煙が混ざり合いながら、雪の降る夜空へと消えていく。

「ま、この程度なら観測に問題はないでしょ」 

望遠鏡片手に、タバコの煙を鼻から吐き出すと、篤が夜空を見上げた。

「綺麗だな」

「星見ると落ち着くわ、何も考えなくていいからさ」

篤が、だな、と笑った。

「で、冬馬、お前結婚しねぇの?」

「あいにく相手がね」

「てゆーか特定の女作らないの何で?」

「やけに俺に興味津々じゃん」

「まあな、お前は大事なことは言わないヤツだから……これでも心配してんだけど?」

「結局女ってめんどくせぇから。だからお互い体の関係だけがラクなんだよ」

俺を見ながら、篤が煙草を吐き出すと少しだけ黙ってた。


「……お前さ、明香ちゃんのことどう思ってる?」

篤からそんなことを聞かれると思っても見なかった、俺は、一瞬視線が揺れた。


「……どうって……ただの妹だろ」

篤が、はぁぁっと大きくため息を吐き出した。


「まだ好きなのかよ」


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