オリオンの夜に〜禁断の恋の果ては、甘く切なく溶けていく〜
タンタンと階段を登り切ったところで俺の弟に会う。半分だけ血が繋がった俺の弟、平山冬馬。
誕生日が俺のが早いだけで同い年だ。
親父は愛人だった平山理恵子に生ませた冬馬を認知はしているが籍は入れてない。だから冬馬も明香も平山姓を名乗っている。
俺たちはここで5歳の頃から一緒に暮らしている。
中学まではお手伝いがきていたが、高校生になってからは、俺たち3人で家事、料理、なんでも分担してなんでも分けあった。
「なんだ冬馬?また寝坊か?」
あくびをしながら気だるそうに歩く茶髪に声を掛ける。冬馬は地毛なのに色素が薄い。
「春樹と違って、できる男じゃないんでね」
煙草を咥えると、階段を下りようと冬馬が手すりに手をかけた。
「春樹今日会議だよな?夜の買い出し、俺行っとくわ」
「助かるよ、卵多めで」
「好きだな、明香は春樹のオムレツ」
「お前も好きだろ?」
「うっせ」
茶髪をガシガシとかくと、冬馬が小さくつぶやいた。