色の無い世界で、色彩やかな君に恋をする
「ねぇ!見て美咲!!」
真奈に呼ばれて振り向いた。
「空見てよ!虹だよ!虹!!」
空を見た。
「…綺麗だね」
そう言ったものの、私に色は分からない。
綺麗って言う概念が無かった。
「ね〜、すごく綺麗」
中三の受験時期を迎えた私たちは、塾帰りに息抜きで公園に来ていた。
もちろん、美術の成績は皆無だった。
だけど私には行きたい高校があった。
「野々原高校、受かると良いなぁ…」
そう呟くと真奈はすかさず
「大丈夫だよ!美咲の頭なら行けるって!」
ありがとう、と笑って返すと真奈は無邪気に笑った。
付近で1番校則が緩かったので野々原高校を志望したのだ。
「野々原高校って偏差値高いもんなぁ…」
「大丈夫!!真奈だって受かるよ!一緒に受かって、たっくさん遊ぼ!!」
そんなやり取りをして、受験に望んだ。


雪がまだ降っている3月。
その日は合格発表だった。
「1325番…1325…あっ!!あった!」
嬉しさが込み上げた私は真奈の所へ向かった。
「真奈ーー!」
「きゃー!私も受かったよ!!」
真奈は涙を流していた。
ここから、私と真奈の野々原高校の物語がはじまったのである。
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