あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
***

「……大葉(たいよう)?」

「んー? 着替えたか?」

 上のパーカーはそのままに、長ズボンに履き替えてきた羽理(うり)を見て、大葉(たいよう)が満足げに微笑んだ。

 だが、羽理は大葉(たいよう)とは対照的に困惑顔のまま。

「あ、あの……。今、倍相(ばいしょう)課長とすっごく、すっごく! くっ付いてなかったですか……?」

「あー、見られちまったか。ま、気にするな。羽理には内緒で男同士のイケナイ話をしてただけだから。――そうだよな? 倍相(ばいしょう)

「はい。〝大葉(たいよう)さん〟と、ドキドキするような時間を共有していただけです」

 どこか上気したような《《色っぽい》》顔で、岳斗(がくと)大葉(たいよう)をうっとりと見つめるから。

 羽理は何だか余計にそわそわしてしまう。

(ちょっ、もしかしてコレ。『皆星(ミナホシ)』で連載中の、『あ〜ん、課長っ♥ こんなところでそんなっ♥』のヒロインのライバル役を男性に置き換えなきゃいけないんじゃないの!?)

 なんてことを思ってしまうような……そんな雰囲気なのだ。

大葉(たいよう)にその気がなさそうなのがせめてもの救いだけど)

 これで大葉(たいよう)にまでそんな雰囲気を醸し出されてしまったら、羽理の立つ瀬がない。


***


 まさか羽理(うり)BL展開(そんなこと)を心配されているだなんてこれっぽちも思っていない大葉(たいよう)は、急に岳斗(がくと)から「大葉(たいよう)さん」だなんて呼ばれて、ポーカーフェイスのまま実はゾワリと全身に鳥肌を立てていた。
< 235 / 539 >

この作品をシェア

pagetop