あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「えっ。いいですけど……高くつきますよぅ!?」

 今買ってきてもらったモノたちも、裸一貫でワープしてきた(?)大葉(たいよう)のために、羽理(うり)が立て替えて買ってきてくれたものばかり。

 ニヤリと笑って大葉(たいよう)を見詰めてくる羽理に、元より大葉(たいよう)はケチるつもりなんてない。

「まぁそれは任せておけ。フルコースのディナーでも何でも食わせてやろうじゃないか」

「本当ですかっ!?」

「ああ。だが、原因が不明な限り、お前がうちに飛ばされてくることもあるかも知れんと思って動けよ?」

 ククッと笑った大葉(たいよう)に、羽理がサァーッと青褪(あおざ)めて。

 ササッと隣室へ走り去ってしまう。

「お、おい、荒木っ!?」

 何事だろうかと思っていたら、羽理がアパレルブランドの袋に何やら詰め込んで戻ってきた。

「これっ。部長の家に置かせて下さい! ――あ、でも……勝手に中見たらしばき倒しますよ⁉︎」

「はぁっ!?」

 いきなり一体何だ、と思った大葉(たいよう)に、「し、下着とか着替えとか一式入ってます。もしものとき、屋久蓑(やくみの)部長みたいに《《ぶっちゃいく》》な格好になるのは嫌ですから!」とか。

「いや、待て! これ、全部お前チョイスだからな!?」

 思わず大葉(たいよう)がそう言ったら、「ポンチョと靴下を身に着けてくれてないから、私チョイスではありません!」と即答されて。

「いやっ。逆にそれ、全部身に付けたらもっとおかしなことになってるからな!?」

 そう返しながらも、大葉(たいよう)は自宅へ無事辿り着けたら、自分も同じように羽理へ着替えを一式預けておこうと心に誓った。
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