あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「さっき庭の畑を見たとき、手入れがちょっぴり手薄になってたの、気付かなかった?」

 畑にはキュウリやトマト、ナス、トウモロコシ、サヤインゲンなどが植えられていた。
 水やりが若干足りていないのか、葉っぱが少しシナッとしているように見えたけれど、あまり水を与え過ぎない方が野菜の味が濃厚になったりすると言うから、そういう意図があってのことかな?と思っていたのだけれど。

 自分では野菜などを育てていなくても、一応青果専門に扱う土恵(つちけい)商事の人間として、そのくらいは知っていた羽理(うり)である。
 でも素人(しろうと)に毛が生えた程度の羽理が知っていることなんて、専業農家を営む祖父母を持つ柚子(ゆず)ならばきっと知っていそうだ。

「葉っぱの虫食い、多いなって思わなかった?」

 羽理の疑問を感じ取ったのだろう。柚子がそう言って微笑んだ。

「あ……」

 遠目だったからそこまでじっくり見たわけではないけれど、言われてみればそうだった気もする。

「たいちゃん、無農薬にこだわってるから……。ちょっと気を抜くとすぐ虫が付くのよ」

 言われて、何となく分かっていたけれど、庭の畑の管理者は大葉(たいよう)なんだなと羽理は確信したのだけれど。
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