あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「でもっ。そのままだと黒くてツヤツヤした(アイツ)が出てきちゃいますよっ?」

「ん? ……ゴキブリのことか?」

 せっかく隠語で言ったのに、サラリとその名を告げてくる大葉(たいよう)にコクコクとうなずいたら、「ウリちゃんがいるから大丈夫だ」とはどういうことだろう?
「え……?」
 キョトンとして大葉(たいよう)を見上げたら、「俺にもよく分かんねぇんだけど……ウリちゃんが来てから見かけなくなったんだよ、あの虫」とか。

 そこでふと、地元の友人が「猫を飼い始めたらGやヤモリを見かけなくなった」と言っていたのを思い出した羽理(うり)である。

(ワンちゃんでも効果があるのっ!?)

 羽理自身は動物が飼えないアパートに住んでいるので未知の世界だが、もし可愛いモフモフが気持ちの悪いG避けになるというのなら、なんて素敵なんだろう! と思って。

「キュウリちゃん、すごい……」

 現状も忘れてうっとりとキュウリちゃんを(たた)えたら、大葉(たいよう)が一瞬驚いたような顔をしてから、すぐさま嬉しそうにふわりと笑った。

「だろ? ウリちゃんはすごいんだ」

 まるで自分が褒められたみたいに喜ぶ大葉(たいよう)が可愛くて、無意識に彼の頬へ手を伸ばしたら、その手を愛しそうに包み込まれた。

「羽理……」

 あ、マズイ……と思った時には後の祭り。

「……んンっ」

 一気に距離を削ってきた大葉(たいよう)に唇を奪われて口腔内を彼の熱い舌で余すところなく探られた羽理は、それだけで身体の芯に熱を(とも)されたのが分かった。


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