あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
39.コノエ産業開発株式会社
ノックをして総務部長室へ入ると、段ボール箱に荷物を詰める作業をしていた屋久蓑大葉が、手を止めてこちらに視線を投げかけてきた。
倍相岳斗は、小さく吐息を落とすと、「突然なんですが、今から有給休暇を取らせて頂きたいのです」と単刀直入に用件を切り出した。さすがに業務中に突然〝今から〟だなんて、管理職に就いている岳斗が切り出すこと自体突飛な話だと思われたんだろう。
「やけに唐突だな。――理由を聞いても構わないか?」
有給休暇は、普通取得理由を会社に告げる必要はない。そのことを踏まえた上であえて問い掛けてきたのであろう大葉に、岳斗は「杏子ちゃんが……美住さんが職場で辛い目に遭っているようなので助けに行きたいんです」と答えた。
実際、自分が行って助けになるかどうかは分からない。
分からないけれど、そうせずにはいられないのだと言葉を重ねる岳斗に、大葉は「彼女の勤め先は知っているのか?」と至極もっともな質問を投げかけてきた。
「彼女の勤め先は……僕の実父の系列会社です」
あれから何だかんだと理由をつけては杏子との逢瀬を重ねてきた岳斗である。
彼女とさまざまな会話をしていく中で杏子の勤め先が、かつて自分が見切りをつけて蹴り飛ばした会社『はなみやこグループ』傘下の会社だと分かった。
倍相岳斗は、小さく吐息を落とすと、「突然なんですが、今から有給休暇を取らせて頂きたいのです」と単刀直入に用件を切り出した。さすがに業務中に突然〝今から〟だなんて、管理職に就いている岳斗が切り出すこと自体突飛な話だと思われたんだろう。
「やけに唐突だな。――理由を聞いても構わないか?」
有給休暇は、普通取得理由を会社に告げる必要はない。そのことを踏まえた上であえて問い掛けてきたのであろう大葉に、岳斗は「杏子ちゃんが……美住さんが職場で辛い目に遭っているようなので助けに行きたいんです」と答えた。
実際、自分が行って助けになるかどうかは分からない。
分からないけれど、そうせずにはいられないのだと言葉を重ねる岳斗に、大葉は「彼女の勤め先は知っているのか?」と至極もっともな質問を投げかけてきた。
「彼女の勤め先は……僕の実父の系列会社です」
あれから何だかんだと理由をつけては杏子との逢瀬を重ねてきた岳斗である。
彼女とさまざまな会話をしていく中で杏子の勤め先が、かつて自分が見切りをつけて蹴り飛ばした会社『はなみやこグループ』傘下の会社だと分かった。