あのっ、とりあえず服着ませんか!?〜私と部長のはずかしいヒミツ〜
「ところでお前! 風呂は明日の朝入れって言っただろ! 何でいま入ってるんだ!」

「らってぇ~。ベタベタしれ気持ち悪かったんれしゅもん」

(いや、それは帰り(ぎわ)にも聞いたけどな!?)

 まだこんなにフラついてるのにシャワーを浴びたんだと思うと、転倒しなくて良かったと心底ホッとした大葉(たいよう)だ。

「とりあえず、風邪ひいちまう。さっさと身体、拭け!」

 ポタポタと水滴を落とす羽理(うり)を見かねて大葉(たいよう)が言ったら、羽理が頭を拭こうとしてバランスを崩して。

「危ねっ」

 思わずその身体を抱き留めた大葉(たいよう)だったのだけれど。

「やーん。ご立派しゃんが当たってましゅー」

「わ、バカ、触るなっ、……あっ」

 羽理にタオル越し。
 スリッと息子を撫で上げられた大葉(たいよう)は、思わず(あえ)ぎ声を上げた。

「わぁ~、思っらより(から)くれビックリにゃのれしゅ」

「だ、から……勝手に触ん、な……、ふ、ぁっ!?」

 羽理の小さな手でギュッと股間を握られた大葉(たいよう)は、理性を総動員して暴発しそうになる息子をなだめた。

 と言うより――。

「……手を放、せ! この破廉恥(はれんち)(むすめ)っ!」

 下腹部へ伸ばされた羽理の濡れそぼった手首を握ったら、思いのほか細くて驚かされて。

(こんな細腕、俺の片手で簡単に押さえ付けられちまうじゃねぇか)

 羽理はそういう危険性を分かっているのだろうか。
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