深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
恭也はまだ状況が把握できないでいる私の頬に手を触れてから、帰っていった。

彼の手の感触が残る頬に自分の手を当て、エレベーターに乗る。

私に触れた時の彼は、穏やかな笑みを浮かべていた。これから幸せな夢を見に行くような……そんな顔だった。

私も今夜は良い夢が見られそうだ。

小野田家に行って、どう話すのかわからないから不安ではある。

だが、私を守るという彼の言葉を今度こそ信じたい。臆病になって逃げた自分を戒め、私なりの誠意を示したい。

恭也が私たちのことを認めてもらうために話すと言うのなら、私も援護できるよう心構えをしておこう。

翌日、午前中に掃除を済ませて、恭也の隣に立つのに少しでも相応しく見えるよう、身支度を整えた。

紺のワンピースにオフホワイトのカーディガンを羽織り、彼が来る時間まで何度も鏡で姿をチェックした。

簡単に認めてもらえないかもしれない。でも、自分の気持ちを正直に伝える。彼と共に歩いていく人生を選ぶと……。
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