深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
恭也は戸惑いながらも、見比べた。

「んー、どちらもかわいいんですけど、世界一と言えば、さやかです」

兄たちから怒りを買うのを恐れて、「選べない」と答える人が多かった。なので、恭也の返答は予想外だ。兄たちは、ため息をつく。

「さやかラブなヤツに聞いたのが、間違いだった」
「そうだな」

兄たちはかわいい娘に癒されるために、私たちよりも先に帰っていった。

私の実家を出てから車に戻るなり、恭也はシートに深く座って、脱力する。

「あー、良かったー。お兄さんたち、厳しいからどうなるかと思ったけどね」
「うん、良かったね。恭也が頑張ってくれたからだよ」
「さやかが俺を信じてくれているから、頑張れたんだよ……って、途中からおかしくなってたよな? おもしろいって言われたしさ」

恭也はずっと真剣だった。おもしろくなることは、何もしていないと思っている。私は彼の頭に手を置いて、動かした。

その手を「えっ?」と掴まれる。彼の目には、戸惑いの色があらわれていた。

「なんか、恭也がかわいく見えちゃった」
「俺が? そんなことないだろ?」
「何だろうなー。かわいいというか、愛しい感じかな。だから、頑張った恭也をなでなでしたくなった」 
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