深まり愛～彼は一途な想いを貫く～

今まで誰かと同棲するとは、考えたことがなかった。友だちが同棲すると決めた時は、結婚したらいいのではないかと思った。

何を選ぶかは周りがあれこれと言うことではないが、自分に同棲するかしないかの選択を求められるとは想定したことがない。

ただ、もうあの二人の顔はみたくない。会社を辞めてから、どうしたらいいかな……地元に帰って、成瀬と暮らす？

考え巡らせていると、成瀬は「うん」と決意を固めたかのように頷いた。

「やっぱ一緒に暮らそう。中田を一人にしたくないし、いつでも笑ってもらえるように俺が頑張るよ」
「成瀬が頑張るの？」
「ああ。中田が俺のそばにいるのが一番良いと思えるような環境にしてみせる。任せとけって」

胸を張る姿を見て、苦笑する。

「そんな良い環境にされたら、私甘えちゃうかも」
「いいよ、いっぱい甘えてよ。めちゃくちゃ甘やかしたい。中田が甘えてくれるなんて、最高だな」

成瀬は何を想像したのだか、視線をやや上に向けて、ニヤけた。

今、何を考えた？

「変な想像しないでよ。私、そんな甘えるキャラじゃないし、かわいくもないから」
「何言ってるんだよ？　わかってないな。中田はいつでもかわいい。今もそんなふうに焦る顔、かわいいよ。中田はおそるおそる甘える感じかな……いや、意外にも……あー、もう！　やっぱ早く一緒に暮らしたい」