深まり愛~彼は一途な想いを貫く~
「持つよ。貸して」
「ありがとう。ビックリしたぁ」
「驚かせようと思ったから、成功だ」

成瀬は楽しそうに笑い、近くのコインパーキングまで歩いていく。そこに停まっている白いセダン車の助手席のドアを開けた。

「どうぞ」
「これ、成瀬の車?」
「そうだよ。乗って」
「車でここまで来たの?」

成瀬の家からは高速を利用しても、2時間近くかかる。もちろん私の実家からでも同時間だ。

今日は成瀬も仕事だったはず。その証拠に服装はネクタイをしていないが、スーツである。

仕事を終えてから来るには、時間がおかしい。

「今日は午前中だけ仕事して、午後にこの車を納車したんだ」
「納車したばかりなの?」
「うん、そう」

言われてみれば、新車の香りがした。

私はペーパードライバーということもあり、車にそれほど詳しくない。でも、この車が高級だというのはわかる。

ローンで買ったのかな?

車内をキョロキョロと見ていると、運転席に座った成瀬が笑った。

「そんなに珍しい? 一番初めに中田を乗せられて、嬉しいよ。どこかレストランで食事しようかなとも考えたんだけど、マンションに行っていい?」
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